「ゴルフと酒の関係」のお話です。
名誉と伝統に輝く「ミュアフィールド」の重厚な一室で、理事会が行われていた。
会議が終わりに近づいたとき、いつも温厚で寡黙なクリストファー・フランクリンが、いつもと違い怒気さえ感じられる声で言った「諸君にお訊ねしたい、プレーの途中で酒を飲むのは、偉大なゲームに対する冒涜ではないだろうか。近ごろ無神経の度が過ぎるように思う。この際、ゴルフと酒の関係を明快にすべきである」
「百歩譲って、アメリカ人のようにゴルフを娯楽の一種としてとらえたとしても、どこの世界に競技の途中、酒を許すスポーツがあるだろうか。早急に歯止めをかけないと、やがてコースは千鳥足の男たちで溢れ返り、収拾のつかない事態を迎えるだろう」
それに対し他の理事から、「君はゴルフ禁止令ならぬ、アルコール禁止令でも発布するつもりかね?」
この日、彼が一石を投じるまで、ゴルフと酒の関係はおおむね良好だった。それというのもリンクスの寒さは尋常ではない。冬のスコットランドは骨身にこたえるのが相場、いかに非難されようともアルコールは必需品だった。
しかし、だからといって酒瓶片手の無法が許されるはずもなく、コースでは嗜みがバランスよく保てれてきた。
ほとんどのゴルファーは酒のポケット瓶を用意し、プレー中も酔わない程度にチビチビやるのが紳士の心得とされた。
「ゴルフでは、酒に酔った者が勝負に負ける」
この続きは次週に・・・
マスター室 大島
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